退職給付金とは?給付金一覧と受給条件や申請方法を解説

退職給付金とは?給付金一覧と受給条件や申請方法を解説

退職給付金について「制度が多すぎて何から手をつけていいのかわからない」と感じている人は少なくありません。

申請のタイミングを逃すと、受け取れるはずの支援を失ってしまう場合もあります。

この記事では、退職給付金の種類や受給条件、計算方法、申請手順、税金のしくみまでわかりやすく解説しています。

必要な給付をもれなく受け取り、退職後の生活を安心してスタートさせるための知識が得られます。

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目次

退職給付金とは

退職給付金とは、従業員が退職後に一定の条件を満たすことで受け取ることができる金銭的な給付の総称です。退職金や年金、失業保険など、複数の制度を含み、企業が直接支払うものと、国や自治体が運営する制度の両方が存在します。

雇用保険制度年金制度と密接に関係しており、退職後の生活を安定させるために不可欠な制度です。給付金の内容や受け取り方は、勤務状況や退職理由、年齢などによって大きく異なります。

  • 退職後に受け取れる金銭的な支援全般を指す
  • 失業保険や退職金、年金などが含まれる
  • 勤務先や国・自治体など複数の制度が関与する
  • 退職理由や働き方によって支給内容が異なる
  • 申請や手続きが必要で、条件を満たさないと受け取れない

退職金との違い

退職給付金は広義の概念であり、その中の一部が退職金です。退職金は企業が従業員の勤続年数や業績、就業規則に基づいて支給する一時金であり、企業独自の制度により金額や支給の有無が異なります。

  • 退職給付金は複数制度から構成される広い概念
  • 退職金は企業が支給する金銭のみを指す
  • 退職給付金には国の制度による支援も含まれる
  • 退職金がない場合でも他の給付金が受給できる可能性がある

退職給付金には退職金のほか、国の制度に基づく失業保険や年金、求職者支援給付金などが含まれます。そのため、退職金だけでなく、さまざまな制度からの給付を総称して退職給付金と呼びます。

退職金が支給されない場合でも、退職給付金として他の制度の支援を受けられる可能性があります。たとえば、非正規雇用や自己都合退職であっても条件を満たせば失業保険などの給付対象になります。

退職給付制度との違い

退職給付制度は、企業や団体が設けている制度の枠組みを指します。具体的には、確定給付企業年金企業型確定拠出年金のように、企業が計画的に従業員の退職後の生活を支えるために準備する制度です。

退職給付金は、この退職給付制度の中で支給される金銭を含みますが、制度そのものを指しているわけではありません。退職給付制度は支給の仕組みであり、退職給付金はその結果として受け取る給付です。

制度には法令に基づく義務的なものと、企業が任意で導入するものがあり、加入している制度の種類によって給付内容が異なります。

なぜ退職給付金が支給されるのか

退職給付金の目的は、退職後の生活安定を支援することです。退職によって収入が一時的に途絶える状況で、生活費や就職活動の支援を受けることで次の生活基盤を築く準備ができます。

企業側の視点では、従業員への感謝や労働の対価、雇用維持のためのインセンティブとしても機能します。一方で、国の制度としての給付金は社会保障としての性格を持ち、生活困窮を防止する役割があります。

近年では非正規雇用や短期雇用が増加し、退職給付制度に加入していない労働者も多くなっています。そのような人々を救済するために、求職者支援制度傷病手当金など、多様な給付金制度が整備されています。

退職給付金の種類一覧

退職給付金の種類は、退職後の生活を支えるために用意された複数の給付制度を指します。支給される給付金の種類は、退職理由、雇用形態、年齢、就職活動の状況などによって異なります。主に国の制度に基づいており、それぞれに条件や申請方法があります。

すべての給付金を理解し、受け取れる制度を把握することが、退職後の生活を安定させるために欠かせません。重複して受け取れない制度や、併用可能な制度もあるため、事前に確認する必要があります。

  • 離職後に受け取れる給付金は10種類以上ある
  • 退職理由や年齢によって該当する制度が変わる
  • 支給条件や申請手続きは制度ごとに異なる
  • 一部の制度は併用できないものもある
  • 受給にはハローワークなどへの申請が必要

失業保険

失業保険は、雇用保険に加入していた労働者が失業した場合に一定期間給付される制度です。正式には「基本手当」と呼ばれ、離職理由や勤続年数によって支給日数が異なります。

自己都合退職と会社都合退職では、待機期間や給付開始時期が異なります。ハローワークでの求職登録と定期的な求職活動の報告が受給条件となります。

給付額は離職前6か月間の平均賃金日額を基に計算され、50〜80%の範囲で支給されます。上限額が設定されており、月収が高い場合でも全額が保障されるわけではありません。

退職金

退職金は企業が従業員に対して支給する給付金であり、企業の規定や退職給付制度に基づいて支給されます。一括支給型と分割支給型があり、支給条件も企業ごとに異なります。

退職金の金額は、勤続年数や最終給与、役職などをもとに計算されます。退職所得として課税対象ですが、退職所得控除が適用されるため、実質的な税負担は軽減されます。

確定給付企業年金や確定拠出年金を導入している企業では、個人が加入している内容によって受け取る金額が異なります。

年金

年金は、高齢期の生活を支える長期的な給付金で、主に公的年金制度(国民年金・厚生年金)に基づいて支給されます。老齢年金・障害年金・遺族年金などの種類があります。

退職と同時に老齢年金の受給開始年齢を迎えていれば、申請することで受給が可能になります。受給額は加入期間と納付金額により変動します。

年金の受給開始時期は60歳から75歳までの間で選択できます。繰下げ受給を選ぶと月額受給額が増えるメリットがあります。

広域求職活動費

広域求職活動費は、遠隔地での就職活動を行うために必要な交通費や宿泊費を支給する制度です。失業保険の受給者で、ハローワークの紹介により遠方で面接を受ける場合に対象となります。

  • 面接のため遠方に移動する費用を支援
  • 支給対象はハローワーク紹介による求職活動
  • 交通費・宿泊費が支給対象となる
  • 事前の申請や証明書類の提出が必要

支給額は活動地域や移動距離、宿泊の有無などに応じて変動します。申請には証明書類や面接予定証明書などが必要です。

あくまで求職活動の一環として必要と認められた場合にのみ支給され、自己判断での活動では対象外になる場合があります。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している労働者が、病気やけがにより働けなくなった際に支給される給付金です。会社を退職しても、一定の条件を満たせば退職後も受給が可能です。

支給額は標準報酬日額の3分の2に相当する金額で、最長で1年6か月間受け取ることができます。病気の証明と医師の診断書が必要です。

就職活動中に体調を崩した場合や、退職直前に体調不良になった場合でも、健康保険の継続手続きや任意継続被保険者制度の利用により受給の可能性があります。

就職促進給付

就職促進給付は、早期就職や就業を支援するために支給される制度です。再就職手当や就業促進定着手当などがあり、早期の職場復帰を後押しします。

失業保険を受給中に再就職が決定した場合、所定の条件を満たせば残りの基本手当の一部が再就職手当として支給されます。支給額は残日数や再就職先の条件によって異なります。

申請には就職先からの証明とハローワークの確認が必要です。再就職先で6か月以上継続勤務した場合には、追加で就業促進定着手当が支給されるケースもあります。

求職者支援制度

求職者支援制度は、雇用保険に加入していない人や受給が終了した人が、職業訓練を受けながら生活費の一部を支援してもらう制度です。職業訓練受講給付金として、月額10万円と通所交通費などが支給されます。

支給には訓練の出席率などの条件があり、無断欠席や中途退校が続くと打ち切られることがあります。ハローワークでの相談と講座選定、本人の就労意欲が重視されます。

支給対象には、学生や主婦、無職期間が長い人も含まれるため、再就職の足掛かりとして利用されるケースが増えています。

特例一時金

特例一時金は、短期間しか雇用保険に加入していなかった人や、雇用期間が1年未満で失業保険を受給できない場合に支給される制度です。

支給対象には、季節労働者や短期契約のアルバイトなどが含まれます。支給額は退職前の賃金や就業状況に応じて計算され、失業の証明が必要です。

受給にはハローワークでの認定が必要で、提出書類や面談を経て判断されます。

求職者支援金融資制度

求職者支援金融資制度は、再就職に向けた職業訓練や生活支援を目的とした貸付制度です。無利子で融資を受けられるケースもあり、返済開始時期は就職後からとなる場合が一般的です。

求職者支援制度と併用することで、訓練を受けながらの生活費負担を軽減できます。ただし、貸付であるため、返済義務がある点に注意が必要です。

利用には申請手続きと審査があり、収入状況や返済能力に応じて借入額が決定されます。

未払賃金立替払制度

未払賃金立替払制度は、倒産した企業で働いていた労働者が、未払いとなっている賃金や退職金の一部を政府が立て替える制度です。

労災保険を運営する労働者健康安全機構が対応しており、事前に倒産認定や賃金証明が必要です。支給額には上限があり、年齢や未払期間に応じて異なります。

申請には元勤務先の証明や離職票などの書類提出が求められます。労働基準監督署での相談も可能です。

退職給付金の対象者と支給条件

退職給付金の対象者は、雇用保険に加入していた労働者や、退職前に所定の条件を満たしていた人が基本になります。ただし、制度ごとに支給の対象や条件が異なり、一律に支給されるものではありません。正社員だけでなく、パート・アルバイト、契約社員などの非正規雇用者も条件を満たせば対象になります。

支給条件は制度によって細かく設定されており、退職理由、雇用形態、雇用期間、年齢、再就職の有無など複数の要素によって決まります。とくに、自己都合退職と会社都合退職では、給付開始時期や内容が変わるため、事前確認が欠かせません。

  • 雇用保険に加入していた人が基本的な対象
  • パートやアルバイトでも条件を満たせば対象になる
  • 自己都合退職か会社都合退職かで受給内容が変わる
  • 年齢や勤続年数によっても支給内容が異なる
  • 給付金の種類によって支給条件が個別に設定されている

自己都合退職でも受け取れる?

自己都合での退職であっても、多くの給付制度は受給可能です。ただし、待機期間給付制限が設けられており、会社都合退職よりも不利な条件での支給となる場合があります。失業保険の場合、7日間の待機期間に加えて2か月間の給付制限が発生することがあります。

  • 自己都合退職でも失業保険の申請は可能
  • 待機期間7日間と給付制限がある(通常2か月)
  • やむを得ない理由があれば早期受給の可能性あり
  • 一部制度では制限がなく自己都合でも受給できる

例外的に、やむを得ない事情(体調不良、介護、パワーハラスメントなど)で退職したと認められた場合は、会社都合と同様の扱いで早期に受給できるケースもあります。ハローワークに詳細を相談することが必要です。

一方で、再就職促進給付や特例一時金など、一部の制度は自己都合退職者にも制限がなく受給できる場合があります。それぞれの制度の詳細を確認し、手続きを行うことが求められます。

パート・アルバイトは?

パートやアルバイトでも退職給付金の対象になります。ただし、雇用保険の加入条件を満たしていることが前提です。週20時間以上の勤務や、31日以上の雇用見込みがあることなどが基準となります。

これらの条件を満たしていれば、失業保険や再就職手当、求職者支援制度などの給付金を受け取ることができます。ただし、加入期間が短いと支給額や支給期間が制限されることもあります。

また、パートやアルバイトは退職金制度の対象外である場合も多いため、受給できる給付金は公的制度に限られることが一般的です。事前に勤務先に確認することが望まれます。

勤続年数や勤務実績は?

勤続年数や勤務実績は給付金の支給条件に大きく影響します。特に退職金の支給においては、勤続年数が長いほど支給額が高くなる傾向があります。5年未満の短期勤続では、退職金が発生しない企業も存在します。

  • 退職金は勤続年数が長いほど高額になりやすい
  • 失業保険は1年以上の雇用保険加入が原則条件
  • 特例として会社都合退職なら6か月でも可
  • 無断欠勤などの勤務態度は審査に影響することもある

失業保険の場合、加入期間が12か月以上であることが基本的な受給要件です。特例として、倒産や解雇などによる退職では、6か月の加入でも受給可能な場合があります。

勤務実績に問題がある場合、たとえば無断欠勤が多い、契約期間を守らずに退職したなどの事情があると、再就職先やハローワークでの評価に影響が出る可能性もあります。適切な勤務態度を保つことも、給付金を確実に受け取るために必要です。

退職給付金の計算方法の基礎知識

退職給付金の計算方法は、制度の種類や支給主体によって異なります。退職金であれば企業の就業規則に従い、失業保険であれば雇用保険法に基づいて算出されます。すべてに共通しているのは、退職前の収入勤続年数退職理由などが金額に影響を与える点です。

基本的な計算の考え方を理解しておけば、見込額を予測したり、申請の判断材料にしたりする際に役立ちます。制度によっては支給額の上限や日数制限があるため、正確な情報を確認しておくことが必要です。

  • 制度ごとに計算方法が異なる
  • 過去の給与や勤続年数が影響する
  • 上限額や下限額が制度ごとに設定されている
  • 支給日数や支給率によって金額が決まる
  • 自己都合か会社都合かで金額や支給時期が変わる

支給額に影響する要素とは

退職給付金の支給額を決定する主な要素は、平均賃金勤続年数年齢退職理由の4つです。特に失業保険の場合、退職前6か月の賃金の平均から算出される「賃金日額」がベースとなり、その金額に支給率を掛けた金額が「基本手当日額」として支給されます。

  • 平均賃金・勤続年数・年齢・退職理由が影響する
  • 失業保険では「賃金日額×支給率」で算出
  • 退職金は「最終給与×勤続年数×係数」で計算
  • 傷病手当金は標準報酬日額の2/3が基準

退職金の場合は、企業によっては「最終給与×勤続年数×係数」で計算するケースが一般的です。係数には勤続年数による割増が反映されることが多く、長期勤続者ほど高額になります。

また、傷病手当金など一部の給付金は、健康保険上の標準報酬日額に基づいて算定され、月額支給の形を取る場合もあります。

実際の計算例とシミュレーション

具体的な支給額を試算するには、制度ごとの計算式を理解しておくと便利です。以下に、代表的な給付金についての簡易シミュレーション例を示します。

スクロールできます
給付制度計算例支給額の目安(月収30万円の場合)
失業保険賃金日額 × 支給率(50〜80%) × 支給日数約5,400円〜8,000円/日 ×90日〜150日
傷病手当金標準報酬日額 × 2/3約6,600円/日(標準報酬日額10,000円)
退職金(例)最終月給 × 勤続年数 × 0.5(係数)30万円 × 20年 × 0.5=300万円

このように、制度ごとに計算方法は異なるため、退職前に自分の受給可能額を一度シミュレーションしてみることが推奨されます。オンラインで提供されている計算ツールを活用することで、概算を得ることができます。

会社によって異なる計算基準

退職金や企業年金の給付は、会社ごとの制度設計に大きく左右されます。例えば、確定給付企業年金では企業が将来の給付額を保証しており、あらかじめ決められた計算式に基づいて支給されます。一方、確定拠出年金では加入者が運用成果により受取額が変わります。

退職金の支給額や計算方法については、就業規則または退職金規程に明記されており、企業によっては役職手当や賞与の一部を計算に含める場合もあります。

また、業種や企業規模によっても支給傾向が異なります。たとえば大企業では一律に支給する傾向が強く、中小企業では個別交渉が必要なケースもあります。入社時や在職中に確認しておくことで、退職時のトラブルを防ぐことができます。

退職給付金の申請方法と必要書類

退職給付金の申請方法は、給付金の種類ごとに異なりますが、共通して求められるのは正確な情報の提出と期日を守ることです。申請には、退職後すぐに行動を起こす必要があり、提出先はハローワークや勤務先、保険機関などに分かれます。申請を怠ると給付金を受け取れない場合があるため、制度の流れと必要書類を事前に把握しておくことが求められます。

自己都合退職や非正規雇用の人は、制度によって申請の可否や手続き内容が変わるため、詳細な確認が欠かせません。各給付制度ごとの提出先と書類を正確に揃えることが受給の第一歩です。

  • 申請手続きは給付金ごとに異なる
  • ハローワークや会社、年金事務所などが提出先になる
  • 必要書類を不備なく揃えることが受給への近道
  • 退職後早めの行動が必要になる
  • 期限を過ぎると受給できなくなる制度もある

必要書類の一覧

退職給付金の申請には、制度に応じて多くの書類が求められます。以下の表は代表的な給付金に対して必要となる主要書類の一覧です。

給付制度必要書類
失業保険離職票、本人確認書類、印鑑、通帳、マイナンバー通知書
傷病手当金傷病手当金支給申請書(医師の証明含む)、健康保険被保険者証の写し
退職金退職所得の源泉徴収票、退職金支給明細、退職証明書
求職者支援制度訓練受講申込書、住民票、本人確認書類、求職申込書
特例一時金離職票、就職活動証明書、特例一時金申請書、印鑑
未払賃金立替払制度雇用契約書、労働時間記録、賃金台帳、倒産の証明資料

申請書類は複数のコピーが求められることもあります。また、印鑑やマイナンバーの提示も必要となるため、役所や勤務先からの案内に従って事前に準備を進めましょう。

申請の手順と流れ

多くの退職給付金制度では、以下のような共通の流れに従って申請が行われます。特に失業保険や求職者支援制度では、ハローワークを起点とした手続きが基本になります。

  1. 退職後すぐにハローワークで求職申し込み
  2. 対象制度の申請書類を取得し、必要事項を記入
  3. 必要な添付書類をそろえて提出
  4. 面談や説明会に出席(対象制度による)
  5. 受給決定後、給付開始。定期的に報告や認定が必要

この流れは制度により簡略化されたり、追加の手続きが必要になることもあります。とくに職業訓練や傷病手当金などは、専門機関や医療機関との連携が必要なため、早めの準備が求められます。

ハローワークや勤務先での手続き方法

ハローワークでの手続きは、退職給付金の中でも失業保険や求職者支援制度に関する申請で中心的な役割を果たします。初回は求職申込書の提出と離職票の提出が必要となり、その後、職員との面談や説明会に参加します。

  • ハローワークでは求職申込と失業認定が必要
  • 紹介状をもとに求職活動を行う
  • 勤務先では退職証明書や源泉徴収票の発行を依頼
  • 退職所得控除や税申告にも関わるため書類整理が必要

再就職手当や広域求職活動費なども、ハローワークでの紹介が前提となるため、紹介状や就職証明書が必要です。一方で退職金に関しては、勤務先が発行する明細書や源泉徴収票をもとに、年末調整や確定申告の準備を行う必要があります。

勤務先での手続きには、退職届の提出、退職証明書や源泉徴収票の交付依頼などがあります。手続きの遅れは、年金や退職所得控除の申告に影響を及ぼすため、退職前に必要書類を確認しておくことが大切です。

申請時に注意すべき3つのポイント

退職給付金を申請する際の注意点を事前に理解しておくことで、手続きの失敗や給付の遅れを避けることができます。多くの制度には提出期限や条件が定められており、些細なミスが受給不可につながることもあります。給付の対象かどうかの確認、書類の不備、申請期限の見落としは頻発するトラブルの原因となっています。

申請の準備段階から必要な情報を把握し、提出書類の確認を丁寧に行うことで、スムーズに給付を受けることができます。ハローワークや保険者からの案内を読み飛ばさず、必要な手続きを確実に進めることが求められます。

  • 支給対象かどうかを事前に確認しておく
  • 提出書類に不備や漏れがないか注意する
  • 申請期限や時効に間に合うように行動する

給付対象か事前に確認しておくこと

申請前には、自分が給付対象かどうかを必ず確認しておく必要があります。制度ごとに設けられている条件は細かく、対象外であるにもかかわらず申請してしまうと、時間と労力が無駄になってしまいます。

たとえば、失業保険では雇用保険に1年以上加入していないと原則受給できません。特例一時金や求職者支援制度なども、失業状態にあることや就職の意思があることを示す必要があります。

対象条件の一例として、週20時間以上勤務していたか、退職理由が会社都合か自己都合か、保険料の支払い期間があるかなどが確認項目になります。事前にハローワークで相談すると、適切な制度と申請方法が案内されます。

書類の不備・不足に注意

申請に必要な書類が不足していたり記入に不備があると、手続きが進まず受給が遅れます。特に離職票や本人確認書類、通帳、マイナンバー確認書類などは、制度を問わず求められる基本的な書類です。

  • 不備があると申請が差し戻される
  • 記入ミスや押印漏れも確認対象
  • 事前に案内文書を読み込んでから記入する
  • コピーや追加書類が必要になることもある

申請書類には所定のフォーマットがあり、内容が一部でも記載漏れや誤記があると差し戻しになります。申請時には提出先でその場で確認してもらえるとは限らないため、自身で事前に複数回チェックすることが大切です。

コピーが必要な場合や、印鑑の押印が求められる場合もあるため、手続き前に案内文書や窓口での説明をしっかり読み込むことが求められます。

時効に注意!期限を逃さないために

退職給付金の多くは、申請期限や時効が定められています。たとえば失業保険の申請は、退職後すぐに行う必要があり、一定期間を過ぎると受給資格を失う可能性があります。

また、傷病手当金や特例一時金なども、申請からの時効が2年と定められている場合があり、過去の出来事について後から申請しようとしても認められないことがあります。

制度によっては「受給可能期間の延長手続き」を行うことで救済される場合もありますが、原則として決められた期限内での申請が求められます。退職日からカウントされるケースが多いため、早めに準備を開始しておくことが大切です。

退職給付金にかかる税金と控除のしくみ

退職給付金には税金がかかる場合がありますが、一般的な所得と異なり、特別な制度によって軽減されています。とくに退職金に対しては、退職所得控除が適用され、長期間勤続した人ほど税負担が軽くなります。給付金の種類によっては非課税扱いとなるものもあり、制度ごとに税制上の取り扱いが異なります。

正しい知識をもっておくことで、税務申告の準備や節税対策がしやすくなります。退職給付金を受け取る際には、控除や課税対象を理解したうえで、提出書類や手続きを整えることが求められます。

  • 退職金は退職所得として課税される
  • 退職所得控除により税負担が大幅に軽減される
  • 給付金の種類によっては非課税となる場合もある
  • 所得税・住民税の計算は特別な計算式を使う
  • 税務処理には源泉徴収票や確定申告が必要になる

退職所得控除とは

退職所得控除は、退職金に対する税負担を軽減するための制度です。これは長年働いてきたことに対する国の配慮であり、勤続年数に応じた一定額が課税対象から差し引かれる仕組みになっています。

控除額は、勤続年数が20年以下の場合は「40万円×勤続年数(最低80万円)」、20年を超える部分については「70万円×(勤続年数−20年)」が加算されます。この控除を差し引いたあとの金額の1/2が課税対象となります。

たとえば、勤続25年の人が1,500万円の退職金を受け取った場合、控除額は40万円×20年+70万円×5年=1,550万円となり、課税対象額は0円になります。このように、一定額までの退職金は非課税になるケースもあります。

所得税・住民税の計算方法

退職給付金のうち、退職金として支給される金額は「退職所得」として課税され、他の所得とは別枠で計算されます。所得税・住民税の計算では、上記の退職所得控除を引いた後、残額の1/2を課税対象とするという特別な計算式が適用されます。

所得税は累進課税制度で計算され、税率は所得に応じて5%から45%まで設定されています。住民税は一律10%で、こちらも退職所得の1/2を基準に課税されます。

なお、退職金を受け取る際に勤務先が源泉徴収を行っていれば、原則として確定申告は不要です。ただし、2か所以上の退職金がある場合や、源泉徴収されていない場合は、確定申告が必要になります。

税務処理の流れと提出先

税務処理の流れは、退職金や給付金の種類、受け取り方によって異なりますが、多くの場合、企業が源泉徴収を行い、退職者には「退職所得の源泉徴収票」が交付されます。これは年末調整や確定申告に使用する書類です。

退職所得がある場合、基本的に企業側が税額を計算して納付するため、受け取る側の手間は少なく済みます。ただし、再就職先でも同じ年に収入がある場合は、合算して確定申告する必要がある場合があります。

住民税については、退職翌年の6月以降に通知が届きます。退職後に収入がない場合は、一括納付や分割納付の相談も可能なので、自治体の税務課へ早めに確認することがすすめられます。税金に関する手続きでは、提出先は勤務先、税務署、市区町村の3か所が主になります。必要に応じて相談窓口を活用しましょう。

他制度との違いや併用の可能性

退職給付金は他の支援制度と併用できるものとできないものがあり、制度ごとの特徴や条件を正確に理解することが必要です。失業保険や就職促進給付金などのように重複して受給できない制度もあれば、条件次第で同時に利用できる制度も存在します。制度間の違いや関係性を把握しておくことで、退職後の生活設計がより柔軟になります。

併用可能な制度を上手く活用することで、経済的負担を軽減しながら再就職や生活安定を目指すことができます。制度ごとに給付金の目的や性質が異なるため、組み合わせ方を間違えると申請が却下される可能性もあるため注意が必要です。

  • 制度ごとに支給条件や目的が異なる
  • 同時併用できない給付金も存在する
  • 失業保険と再就職手当は併用不可
  • 職業訓練給付と求職者支援制度は併用が可能な場合がある
  • 支援資金や融資制度は給付金とは別枠で利用できる

失業保険との違いと併用の可否

失業保険は、雇用保険に加入していた人が失業したときに生活を支えるために支給される制度です。基本手当と呼ばれ、求職活動の実績が必要であり、ハローワークを通じた就職支援が前提になります。

退職金や傷病手当金との併用については、退職金は雇用保険の受給条件に影響しませんが、傷病手当金を受給している期間は失業状態と見なされず、失業保険との同時受給はできません。健康上の理由で働けない間は、傷病手当金が優先されます。

また、失業保険受給中に再就職した場合は、残りの給付金をまとめて受け取る再就職手当が支給されますが、この手当と同時に他の給付金を申請する際は要件確認が必要です。

職業訓練給付金・再就職手当との関係

職業訓練給付金は、再就職に役立つスキルを習得するための支援として支給されます。訓練を受けることで生活費を補いながら再就職を目指すことができ、給付対象には職業訓練受講給付金や教育訓練給付金などがあります。

  • 訓練給付金と失業保険は併用可能な場合がある
  • 訓練中に就職すると給付終了し再就職手当が支給される
  • 再就職手当と他制度の同時受給には制限あり
  • 制度の切り替え時にはハローワークの確認が必要

これらの制度は失業保険と併用可能な場合がありますが、再就職手当との同時受給はできません。たとえば、職業訓練の途中で再就職した場合は、訓練給付が打ち切られ、再就職手当が支給される可能性があります。

制度間の切り替え時には、ハローワークでの申請内容や就職状況の報告が求められます。併用を希望する場合は、職業訓練の開始前に制度の併用条件を確認することが大切です。

支援資金や融資制度の利用方法

支援資金や融資制度は、給付金ではカバーしきれない生活費や就業準備資金を補う手段として用意されています。代表的なものに「求職者支援資金融資」や「生活福祉資金貸付制度」などがあります。

  • 無利子または低金利での融資制度が利用可能
  • 対象者は職業訓練中や生活困窮状態の求職者
  • 利用には審査・返済計画の提出が必要
  • 社会福祉協議会や自治体で申請を行う

これらは給付金とは異なり、返済義務のある制度です。無利子または低金利での貸付が行われ、職業訓練を受ける人や生活困窮者に向けた支援が行われます。利用にあたっては、収入条件や連帯保証人の有無、返済計画の提出などが求められます。

給付金を受給しながらでも、資金が不足する場合にはこれらの制度を併用して生活の安定を図ることが可能です。ただし、給付金とは異なり返済義務があるため、利用時には将来の収支見通しも含めた判断が必要です。申請先は社会福祉協議会や自治体の窓口となるため、相談のうえで活用を検討しましょう。

退職後の生活設計とお金の管理

退職後の生活設計には、毎月の生活費や将来の収入見込みをもとにした明確な資金計画が不可欠です。働いていた時と比べて収入が減少するため、退職給付金や年金をどのように活用するかが生活の安定を左右します。失業保険の支給期間終了後に備えて、生活費の見直しや資産の再構築を行っておくことが求められます。

退職前から準備を進めることで、退職後も安心して生活を維持することができます。支出を管理しながら収入源を分散させ、税金や社会保険料も考慮した計画を立てておくことが必要です。

  • 退職後の生活には収入の減少リスクがある
  • 給付金や年金をもとに生活費を見直す必要がある
  • 資産運用や節税も長期的な安定につながる
  • 家計を「見える化」して無駄を減らすことが大切
  • 毎月の固定費と変動費を把握して予算を立てる

退職後に必要な生活資金の目安

退職後の生活を維持するためには、1か月あたりの生活費を明確に把握しておくことが最初のステップです。一般的には夫婦2人世帯で月25万円前後、単身世帯で月15万円程度が必要とされています。これには住宅費、食費、光熱費、保険料、通信費などが含まれます。

急な出費や医療費に備えるためには、数か月分の生活費を預貯金などのすぐ使える資金で確保しておくことがすすめられます。また、失業保険の支給が終わった後の収入源を確保していない場合は、職業訓練やアルバイトなどの選択肢を視野に入れて計画を立てましょう。

必要な資金の目安は以下の表のとおりです。

スクロールできます
世帯構成月額生活費の目安年間必要額最低限備えておく資金(半年分)
単身約15万円約180万円約90万円
夫婦約25万円約300万円約150万円

退職後は収入が限定されるため、貯金や退職金の取り崩しタイミングも計画的に設計する必要があります。

資産運用や節税方法のポイント

退職後の資金を長く持たせるには、資産運用の考え方も大切です。すぐに使わないお金を預貯金だけでなく、低リスクの投資信託や個人向け国債、NISAなどの制度を活用して増やすことが可能です。退職金を一括で受け取った場合は、使い道を分散して管理する方法が有効です。

また、退職金には「退職所得控除」があるため、受け取り時期を調整することで節税効果を高めることができます。確定申告による医療費控除やふるさと納税なども活用することで、所得税や住民税を軽減できます。

無理なリスクを取らず、必要な資金と余剰資金を明確に分けたうえで、資産運用を始めることがポイントです。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら進めると、安心して運用を継続できます。

家計管理の見直しポイント

収入が減少する退職後は、家計管理を根本から見直すことが安定した生活を支える鍵になります。まずは収入と支出を正確に把握し、無駄な出費を削減するための家計簿やアプリの活用がおすすめです。

特に見直すべきポイントは、固定費の見直し(通信費、保険料、住宅ローンなど)です。不要なサブスクリプションや過剰な保険契約を整理するだけでも、月々の支出を大きく抑えることができます。

また、支出を「必要な支出」「生活を豊かにする支出」「浪費」に分類することで、優先順位をつけたお金の使い方が可能になります。見直しは1度きりではなく、数か月ごとに定期的に行うことが望ましいです。生活スタイルに応じた柔軟な管理を意識することで、無理のない持続可能な家計が築けます。

退職給付金に関するよくある質問(FAQ)

退職給付金はどのような種類がありますか?

退職給付金には複数の種類が存在し、目的や支給条件がそれぞれ異なります。主なものとしては、退職金、失業保険、傷病手当金、年金、再就職手当、特例一時金、求職者支援制度、広域求職活動費、未払賃金立替払制度、求職者支援資金融資制度などがあります。これらは退職理由や雇用形態、勤続年数、就職状況などに応じて受給の可否が決まります。

自己都合退職でも退職給付金を受け取れますか?

自己都合退職でも退職給付金を受け取ることは可能です。ただし、失業保険の場合は7日間の待機期間に加えて、2か月程度の給付制限が設けられます。再就職手当や求職者支援制度などは条件次第で受給可能ですが、すべての給付が対象になるわけではないため、各制度ごとの支給条件を確認することが必要です。

パートやアルバイトでも退職給付金を受け取ることはできますか?

パートやアルバイトの方でも退職給付金の対象になる場合があります。主に雇用保険に加入していたかどうかがポイントであり、週20時間以上の勤務と31日以上の雇用見込みがあるなどの条件を満たしていれば、失業保険などの給付を受けられます。退職金制度に関しては、勤務先の規定によるため、就業規則の確認が必要です。

退職金に税金はかかりますか?

退職金は課税対象ですが、「退職所得控除」により大幅に税負担が軽減されます。退職所得控除額は勤続年数に応じて決まり、控除後の金額の1/2が課税対象となります。企業が源泉徴収している場合は確定申告の必要がないケースが多いですが、複数の退職金がある場合は申告が必要になります。

退職給付金の申請にはどんな書類が必要ですか?

退職給付金の申請には、給付金の種類ごとに異なる書類が求められます。
例として、失業保険の場合は以下の書類が必要です。

  • 離職票
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • マイナンバーの確認書類
  • 印鑑
  • 通帳(口座確認用)

他の制度では、医師の診断書や雇用契約書などが必要な場合もあります。

退職給付金の申請期限はありますか?

退職給付金には申請期限や時効が設けられている制度があります。たとえば、失業保険は退職後すぐに申請が必要で、遅れると給付期間が短縮されることがあります。傷病手当金など一部の制度には2年の時効があるため、申請が遅れると受給できなくなることもあります。各制度の期限を事前に確認し、早めの手続きが求められます。

退職給付金はどのくらいの金額がもらえるのですか?

退職給付金の金額は、制度や個人の状況によって大きく異なります。失業保険の場合は、退職前6か月の賃金日額をもとに50〜80%が支給されます。退職金は企業の計算基準により異なりますが、「最終月給×勤続年数×係数」で算出されるのが一般的です。傷病手当金や年金も、加入実績や収入によって変動します。

再就職手当を受けると失業保険はもらえなくなりますか?

再就職手当を受け取ると、残りの失業保険の支給は停止されます。これは、就職が早期に決まった場合に、未支給分の一部を一括で支給する仕組みです。受給には、就職先で1年以上の勤務見込みがあるなどの条件があります。再就職が早いほど受け取れる金額が高くなる傾向にあります。

退職給付金と年金は同時にもらえますか?

退職給付金と年金は制度の性質が異なるため、同時に受け取ることが可能です。年金は原則として60歳以降の支給が始まり、老齢基礎年金や厚生年金が対象となります。退職給付金(失業保険など)との同時受給には制限がない場合が多いですが、収入状況によっては一部の年金支給が停止されることがあります。

退職給付金の支給が遅れる場合はどうすればよいですか?

申請に不備があったり、提出書類に不足があると給付の支給が遅れることがあります。まずはハローワークや支給元に連絡し、状況を確認することが大切です。必要に応じて再提出や追加書類の提出を行うことで、手続きが再開されます。支給予定日から1か月以上経過しても入金がない場合は、速やかに窓口へ問い合わせましょう。

まとめ

退職後の生活に不安を感じるのは自然なことです。収入がなくなる中で、どのような給付金を受け取れるのか、手続きはどうすればよいのかといった疑問は多くの人が抱える悩みです。

退職給付金には多くの制度があり、適切な知識があれば生活費の補填や再就職への支援を受けることができます。申請のタイミングや必要書類、税金の扱いなどを理解しておくことで、損をせずに制度を最大限活用できます。

  • 制度によって支給条件が異なる
  • 自己都合退職でも受給できる制度がある
  • 必要書類と期限の確認が必須
  • 税制上の優遇措置がある
  • 給付金と融資制度は併用可能

退職は終わりではなく、新しい人生設計のスタートです。不安を安心に変えるためには、正しい情報をもとに計画的な行動をとることが大切です。

退職給付制度を活用することで、生活費や再就職支援を受けながら自分のペースで次のステージに進む準備ができます。

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